(日本語 編集協力: 石﨑史子)
アトリエひこを訪れる度に、小さな黒いトランポリンが部屋の隅に置かれているのを見ている。芸術の創作というと、キャンバスの前で静かに描くイメージを思い浮かべがちだ。トランポリンと芸術創造は一見関係なさそうに思える。私はどんな面白い繋がりが存在しているのか知らなかった。
火曜日のメンバーである道隆さんは瘦せ型で筋肉をつけつつある十四歳の少年。午後四時頃、アトリエ部屋に入るなり、わくわくして、椅子を並べたり、二つの机を分けたり、空間位置を変えたりしていた。
何が起こっているのか。私が頭を抱えているうちに、彼はトランポリンを隅から拾い上げた。空間に意識を持っているようで、トランポリンを部屋の真ん中に置く前に、周囲の椅子と机の位置を微調整した。準備に手落ちがないように、もう一つ大切な項目は、メニューみたいな冊子から音楽曲の絵カードを選び、石﨑さんへ渡すことだ。
待ちきれない道隆さんはいよいよ楽しそうにトランポリンで飛び跳ね始めた。石﨑さんの弾くピアノ音楽とともに、「Just do it」と書かれたTシャツが彼のジャンプに合わせて上下に揺れていた。音楽のテンポが速くなると、彼は高く飛び上がるほど興奮し、体の動きも活発になっていた。足を前に蹴り出し、手も振っていた。
それほど速やかに動きながらも、即興的に動きの変化を取り入れる道隆さんは私にトランポリン体操選手を思い起こさせた。ジャンプのスピードを自分でコントロールしたうえで、かっこいい動きに挑戦しているのだろうか。
一瞬、アトリエにいるのか、スポーツ会場にいるのか、私はわからなかった。観客として彼の素晴らしいパフォーマンスに拍手を送りたい!
盛り上がりつつ、道隆さんの顔が赤くなり、笑みが浮かんでいるのが見えた。「道隆さんもアイーン、ひこくんもアイーン…」っと、石﨑さんの歌が終わりに近づくと、彼も自然にスピードを落とした。終わりだと思ってたけど、彼は近くの机に直ちに歩いて、勢いよく黒いインクで描いた。
たった6秒ぐらいで、四つのオリンピックのロゴみたいな丸が並んできて、一枚の絵が紙の上に現れた。いいえ、書道なのか。円として見ることもできるが、ゼロとして読み取ることもできる。はっきり判断するのは本当に難しい。
それが何なのか尋ねようとしたが、彼らは祝うかのようにハイタッチすることがわかった。ああ、なるほど!道隆さんのやってきた作品は、単なるソロ作品ではなく、石﨑さんとのチームワークの作品になるのだろうか。
ジャンプしたり、歌ったりすることに続いて、間髪入れずに絵や書が生じる。そういう身体的関係が理論としてあるのかどうかわからないけど、中国の書道家で似ている創作過程を見たことがある。筆を執る前に、作者は目を閉じて瞑想し、始まると、すべての文字を一気に書いた。
静かな瞑想と、片や激しいジャンプ。どちらもウォーミングアップとして大切な時間であり恩恵を受けているのだろう。